建築生はこれを見よ!住宅と幼稚園の造りは全然違う!
今回は幼稚園・保育園について説明します!
幼稚園や保育園を設計をするときに住宅を設計するときと同じような感覚で設計してはいけません。機能や用途が全くと言っていいほど違うからです。その違いについて今回は説明していきます。
幼稚園・保育園のつくり
幼稚園とは
まず幼稚園、保育所、認定こども園(幼稚園と保育園の融合的存在)を総称して就学前乳幼児施設といいます。
就学前乳幼児施設は共同の遊びや生活を通して、育ちを支援するための施設であると定義されているのです。
活動に対応した場
食べる -保育室・ランチルームー
こどもにとって食べること、遊ぶこと、寝ることはとても大事な要素となります。食事は望ましい食概念・食習慣を身に付けるための機会となります。保育室で食べる場合、集団の一体感を強め安定した環境での食事が保障されやすくなるといったことも起こっています。
また、ランチルームなどで食べる場合、クラス間や学年間の交流ができるほか、食事を特別な機会として演出ができます。
設計をする際には食事場所と手洗い場所、調理室からの搬入動線などの計画的な
検討が必要です。
寝る・休む -保育室ー
次にこどもの発達には欠かせない睡眠についてです。0~1歳児は睡眠のリズムが多様であるため、静かで他の園児の影響をあまり受けない保育環境を設けることが重要となります。
園児にとって、休息場所は保育室を使うことが多く、机のコーナーとふとんを敷ける床遊びのコーナーを確保するといった設え上の配慮が必要となります。
排泄する -トイレー
トイレという空間も幼稚園と住宅では違ってきます。0~1歳では沐浴室と便所を兼ねることが多く、保育室と連続させ、すぐに入れるようにします。
近年では生活習慣としての排泄を重視し、保育室にトイレをあらわに接地したオープントイレなどが増えています。住宅でこのようなことはあり得ませんよね。
また、園児のトイレは保育士がのぞき込めるように120cm程度の仕切りとすることが一般的になっています。
遊ぶ -保育室・ホール・テラス・屋外ー
こどもは活発に遊びます。遊びには静的なものと動的なものがあり、子供たちの発達段階や性別、性格、遊び集団の規模により様々な遊びがあります。
保育室ホールなどの屋内、テラスやベランダなどの半屋外、園庭などの屋外空間で様々な遊びが行われることにより、いろんな場所でこどもが遊べるようになっています。
また、保育室にコーナーを設けることで、複数の遊びが存在し、それぞれの好みやペースに応じて遊びが展開しやすくなります。
年齢段階が異なる子供への配慮
幼稚園は3~5歳、保育園は0~5歳までの幅広い年齢の子供が生活を共有しているため、子供たちの発達段階による運動能力や認知能力の相違に十分留意する必要があります。
そのため、低年齢層と高年齢のこどもたちの活動場所は分けるほうがよいとされています。ただし異年齢の混在はリーダーシップの獲得や発達への刺激といった長所もあることを覚えておきましょう。
場と空間の組み立て方
保育室の計画
南面させ、日当たりのよい清潔な室環境をととのえることが大切です。
また、「食べる」「寝る・休む」「排泄する」「遊ぶ」場が存在するため、これらの関係に配慮し、家具などの設えによるコーナーをつくる必要があります。
0・1歳はほふくスペースを設け、沐浴スペースとトイレを保育室に隣接して設けます。
2歳児以上でもトイレは保育室に隣接するか近くに設置するのが望ましいとされます。
各保育室には半屋外のスペースを設けて、室内外の空間を連続させまるのが望まいとされています。
施設全体の計画(配置計画)
道路からのアプローチ動線、またこれに対する園庭と建物の配置を検討する必要があります。
配置計画の考え方により、園庭の解放感、あるいは園庭や施設のセキュリティやプライバシーの確保などの利点がそれぞれに出てくるため、じっくりと考えるにしましょう。
また、こどもの年齢に応じた所要室の配置計画(ゾーニング)を行う際に、低年齢児や休息するスペースは入り口やホールなどの大きな活動場所から距離をおいて設けることも重要です。
入り口は降園するこどもたちや保護者どうしの交流の場所となるため、園庭と連続していれば、迎えの時間帯に園庭で遊べる利点があります。
屋内の活動スペースが屋外スペースと連続的につながる計画は活動の自由な展開や避難時の安全確保などの利点があります。
建築類型への適用(建築の広がりや現代への対応)
幼稚園は学校教育法にもとづく小学校就学前の教育施設、保育所は児童福祉法にもとづく自動福祉施設とされるが、両者の差異は次第に少なくなっています。
認定こども園は認定こども園法にもとづく、幼稚園と保育所の機能を併せ持つ施設であるとされています
幼稚園、保育所と認定こども園では一日の園児数の変化の様子が異なります。
一日の園児数の変化に合わせて活動場所が変わるため、室スペースの大きさや仕切りなどに配慮し、遊びの連続性やにぎわいの密度を適度に調節する必要があります。
以上でおしまいです。おつかれさまでした!
住宅と幼稚園の違いがわかっていただけましたか?