建築生は見て!理解している?研修・保養施設の仕組み
今回は研修・保養施設とはどういうものなのかお話しします。
研修施設というと私は山奥にあり合宿みたいな感じを想像します。友達に研修施設ってどういうもの?と聞かれるかもしれません。まあほとんどないと思いますが、、そういったときにサッと答えるとかっこいいですよね!
「集まる」「修める」「養う」研修・保養施設
研修・保養施設
研修・保養施設は団体や学校の職員、学生などを集めての団体研修、海辺や山間での自然体験、豊かな自然のなかでゆっくりと時間を過ごす心身の保養などを目的とした施設です。
活動に対応した場
入館する -アプローチ・エントランスホールー
遠方からバスや大型車でアクセスし、一斉入館する場合が多いため、エントランス付近までアプローチできるようロータリーや駐車スペースを設ける必要があります。
エントランスホールは荷物を持っての一斉入館や集団活動の集合など多数の人が一度に集まる場所となります。このため宿泊数に応じた広さの玄関とホール空間が必要となります。
修める・集まる・ともに学ぶ -研修室・集会室ー
セミナーや勉強会などを行う場であり、研修施設においては重要な活動場所となります。
規模は20名程度の小規模のものや50~100名程度の大規模なものがあります。
また、研修の目的によって実技演習が可能な設備を有したものや、大規模な集会ができるホールのようなものを必要に応じて設置することがあります。
研修室や会議室は食堂や宿泊室などのゾーンを分け、静かな場所に集約するのがよいとされています。
食べる・親しむ -食堂ー
食堂は共同で食事を楽しみながら、コミュニケーションを図る場です。そのため、明るく開放的な室環境とします。
広い開口部(窓、出入口)や外部テラスなどを設置し、周辺の環境や自然を積極的に取り入れる工夫が望まれる
泊まる・養う -宿泊室ー
宿泊室は心身ともにくつろぎ、また同室の宿泊者と個人的な親睦を深める場です。
清潔で明るい室環境が望まれるとともに、積極的に広縁やバルコニーを設置し、外部環境や自然の豊かさを取り入れるようにする。
宿泊室は一般的なホテルではシングルルームでは10~20㎡程度、ツインルームでは20~30㎡程度が標準的な規模となっています。
研修・保養施設の宿泊室ではトイレや浴室は共同とし、和室や2段ベッドなどにより4~8名程度の宿泊を可能とするグループ室としたものも多くなっています。
楽しむ・憩う -談話室・レクリエーション室ー
夕食・入浴後のひと時や就寝までの時間を談話やTV観賞、ゲームなどをして楽しむ場です。
エントランス付近のロビーやラウンジで共用される場合もありますが、喋り声などに配慮し談話室・レクリエーション室として区別する場合が一般的です。
食堂や共同浴室、宿泊室などの生活空間ゾーンに配置するのが望ましいとされています。
自然に触れる・養う -テラス・屋外広場・散策路ー
積極的に自然とふれあい、自然の豊かさに浸ることも大きな活動目的となります。そのためテラスや野外広場、散策路といった外部空間の計画が必要となります。
また、外部空間の計画では建築空間を含めた相互のつながりを十分検討する必要があります。
場と空間の組み立て方
立地条件
海の家や山の家、温泉などによる保養を目的と施設などは、その活動目的に最も適した立地条件が望まれます。
自然豊かな場所に計画されることが多いため、周辺の緑や水辺、斜面といった環境や地形を生かした計画や外観デザインが重要となります。
部門と諸室
来館者に対しては研修ゾーンと生活ゾーンがあります。
研修ゾーンには研修部門(研修室・会議室など)、生活ゾーンには宿泊部門(宿泊室)や共同浴室があります。共用部門(ロビー・ラウンジなど)と厚生部門(食堂・売店など)は両方のゾーンに属すると考えてよいとされています。
配置形式
立地条件や敷地条件、活動目的などでいくつかの配置パターンが存在します。
複合型:すべての部門が一つの棟に複合して配置する
建設の合理性があり、部門間のつながりや維持管理は効率的となる
分節型:宿泊や研修などの重要な部門を平面的に明確にゾーニングして配置す
る
分散型:自然の中に各部門の施設をできるだけ分散して配置する
随所で自然との一体感を感じられるが、移動空間の利便や快適性の確保
が重要
建築類型への適用(建築の広がりや現代への対応)
研修と保養の目的によって必要とする諸室の機能や構成、規模などに違いが生じますが、両方の目的を兼用する施設も多いのです。
公共の「青少年自然の家」では、野外での活動や集団活動を通して自然の豊かさに触れ、思いやりや友情・協調といった心を養うことが利用目的となります。
以上でおしまいです。おつかれさまでした!
研修・保養施設について理解してもらえましたか??