建築生は読むべき!図書館のあるべきかたち

今回は図書館について説明したいと思います。

「知る」「読む」図書館


 

 

図書館の役割


まずは図書館の役割についてお話します。図書館とは図書の検索や閲覧、貸し出しのほかに、新聞・雑誌の立ち寄り閲覧、児童書の読み聞かせ、自学習室などの活動が行われ場所です。

また、郷土資料の収集と展示、集会企画などの活動、移動図書のサービスなども行っています。

 

活動に対応した場



入館する -エントランスホールー


図書館では様々な活動が行われるため、エントランスホールは目的の場所へ向かうために分かりやすさや見通しのよさ、それぞれの場所への近接性が重要となります。

また、貸し出しサービスなどの面から出入りに関する集約的な管理が必要となります。

案内や貸出のカウンターはエントランスホール付近に配置されるが、最近ではBDSを導入している施設も増えてきています。

 

軽読書する・立ち寄る(ブラウジングコーナー)


新聞や雑誌、気軽に読める図書をくつろぎながら読む場所です。エントランス付近に配置し、景色が見える開放的な空間で、ゆったりとした家具に座って閲覧できる環境が望ましいとされています。

 

図書を探す・読む -開架貸出・閲覧室ー


利用者が配列された書架(本棚)の間を移動し、自ら図書を探して閲覧したり貸出などのサービスをうけるスペースです。

特に地域図書館ではこの開架閲覧室が大きな割合を占めています。

また、利用者が効率よく図書を探し出せるよう見通しのよい書架配置が求められています。

図書館のかたちは大きなワンルーム空間とし、極端な縦横比率の平面形を取らないようにします。

 

児童書を読む・お話を聴く -児童閲覧室・おはなし室ー


児童が児童書や絵本を読んだり借りたりする場であり、図書と親しんだり、親子のコミュニケーションを図る場でもあります。

保護者や職員から読み聞かせてもらう場所をおはなし室といいます。

おはなし室や児童閲覧の一部スペースではカーペット敷きなどの床仕上げとすることが多く、床下に座ったり寝そべったりして図書を楽しむことが出来るようになっています。

児童閲覧室へ至る動線が一般閲覧室を横切らないよう配慮するとともに、相互が近接しないよう空間に分離します。

 

情報検索する・相談する-情報検索コーナー・レファレンスコーナーー


利用者が目的の図書や資料を探す場であり、目録や書誌、検索システムなどが準備されています。

また、検索や資料などの専門的な相談に職員が対応するサービスをレファレンスサービスと呼び、大規模な図書館ではレファレンスコーナーが設置される場合が多くあります。

 

視聴する -AVコーナー・AVホールー


所蔵しているビデオやCDなどの電子メディアを視聴する場です。

AVコーナーでは複数で視聴する設備と、AVブースなどにより個別に視聴できる設備があります。

教育普及や上映会などの目的で、集団で視聴できる設備を整えたAVホールがあります。ここでは映写・音響・照明などの調整室が併設されています。

 

利用サービスする・される -カウンターー


利用案内、登録、貸出・返却、レファレンスなどのサービスを提供する・される場です。

設計の際にカウンターは来館者からの分かりやすさや入館チェックなどの必要からエントランス付近に配置されます。

また、職員のサービス対応という点から、事務室・作業室と近接していることが重要な条件となります。

 

図書や資料を収納する -書庫ー


図書や資料の収納・保存が行われる場であり、図書館において最も重要な役割を担っています。

書庫の環境は温度・湿度をある程度一定に保ち、防水・防湿に対処する必要があります。

 

 

場と空間の組み立て方


 

主階(メインフロア)


図書館は計画にあたり主階という考え方を用いることがあります。

主階には図書館の主要となるサービス空間が配置されます。

また、地域図書館では開架貸出・閲覧室、貸出カウンター、事務室などが主階におかれます。

 

出納(すいとう)方式


利用者が図書や資料を手にするまでの手続きや方法です。

図書館の利用に対して出納方式は最も重要な仕組みとなり、計画の考え方に強く影響します。

大きく分類すると、利用者が自由に入室し本を手に入れる開架方式と職員のみが入室を許される開架方式があります。

 

部門と諸室


利用者に対しては導入(アプローチ・エントランスロビー・案内カウンター)、開架貸出(開架貸出閲覧室・ブラウジングコーナーなど)、レファレンス(レファレンスコーナーなど)、集会(集会室、ホール)、展示(展示コーナーなど)、共用(ロビー・カフェなど)などの部門があります。

また、職員に対しては事務作業(事務作業室など)、収納・保存(書庫)などの部門があります。

利用者のための部門と職員のための部門は公開部門(オモテ)と非公開部門(ウラ)という関係になります。

 

部門と動線計画


限られたスタッフにより数多くのサービスを提供することから、合理的な部門配置と動線計画が必要となります。

各種カウンターやレファレンスコーナー、おはなし室など利用者と職員のコンタクトが必要となる場もあります。この場合、オモテとウラの部門の近接性やこれにともなう諸室の連携が必要となります。

 

建築類型への適用(建築の広がりや現代への対応)


図書館にはサービス面から国立国会図書館公共図書館、大学、学校図書館専門図書館を頂点として広域圏から都心部、地域といった立地にもとづく図書館の階層的構成があります。

 

 


以上でおしまいです。お疲れ様でした!

余談ですが、東京国立国会図書館は地下7階まであり、過去に発行された本は全てここに保管されています。論文から雑誌、小説、漫画などなど。主に書庫としての役割が大きいことが分かりますね!